技術翻訳の3つのC:Correct・Clear・Conciseで伝わる翻訳を

はじめに:なぜ「3つのC」が重要なのか

技術翻訳は、単なる言葉の置き換えではありません。マニュアル、取扱説明書、技術報告書などは、正確に理解されなければ誤操作や事故につながる可能性があります。

そのため、読み手に誤解なく情報を伝えることが最優先です。私は技術翻訳をする際に、常に「Correct(正確)」「Clear(明確)」「Concise(簡潔)」という3つのCを意識しています。

この3つの視点を持つことで、品質の高い翻訳に近づけることができます。

Correct(正確):専門知識と用語統一の大切さ

技術翻訳で最も重要なのは「正確さ」です。数字や単位の変換、専門用語や固有名詞の表記ミスは、深刻な誤解を招きかねません。

例えば、トルクの単位(Nmとft lb)や速度の単位(km/hとmph)の扱いを誤れば、重大な問題が発生する恐れがあります。そのため、私は用語集やスタイルガイドを活用し、常に表記を統一するようにしています。

正確さを徹底することは、翻訳者の基本であり、最も大切な責任でもあります。

Clear(明確):誰にでも理解できる表現

次に大切なのが「明確さ」です。技術翻訳は専門家だけが読むとは限りません。ユーザーや現場担当者など、専門知識がそれほど深くない人も目にする可能性があります。

そのため、曖昧な表現は避け、主語と述語を明確にした一義的な文章にすることを心がけています。

また、専門用語を使う場合でも、必要に応じて補足を加えることで読み手に優しい翻訳になります。明確な表現は、正しい情報伝達の土台です。

Concise(簡潔):無駄のない文章で効率的に伝える

3つ目のポイントは「簡潔さ」です。冗長な説明や不要な修飾語は、読み手の理解を妨げます。

特にマニュアルや手順書では、短くシンプルな文の方が伝わりやすく、読者の時間も節約できます。私は翻訳を仕上げる際に、文章を声に出して読み、スムーズに伝わるかどうかを確認しています。簡潔な文章は、スピーディで正確な理解を助ける大切な要素です。

まとめ:「3つのC」がもたらす価値

技術翻訳において「Correct(正確)」「Clear(明確)」「Concise(簡潔)」を意識することで、読み手にとって分かりやすく、信頼性のある資料が完成します。

また、発注者にとっても高品質な翻訳は、製品やサービスの信頼性を高める大きな武器となります。翻訳者にとっての3つのCは、単なる作業上の指針ではなく、プロフェッショナルとしての姿勢そのものです。


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この記事を書いた人

神谷似顔絵

神谷 あきこ

1973年、静岡県浜松市生まれ。
同志社女子大学学芸学部英文学科卒。
大学卒業後、オーストラリア・シドニーのUniversity of Technology, Sydneyに1年間留学し、現地の中学・高校教員免許を取得。約2年半にわたりメルボルンの中学・高校で日本語教師として勤務。その後、シドニーに戻り、語学研修を専門とする旅行会社で約2年間コーディネーターを務める。
20代後半に故郷の浜松に戻り、派遣社員としてさまざまな企業に勤務。英文事務、海外ユーザーサポート、英語マニュアルの作成、社内技術翻訳など、英語を活かした業務に幅広く携わる。