1. はじめに:なぜ今「社内翻訳者」なのか
翻訳の仕事というと、在宅で自由に働くフリーランスを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は企業の中で働く「社内翻訳者」という働き方も広く存在しています。
とくに未経験から翻訳のキャリアをスタートしたい人にとって、社内翻訳者は貴重な実務経験を積める場でもあります。
本記事では、社内翻訳者の仕事内容や1日の流れ、求められるスキル、メリット・デメリットまで、現場のリアルをご紹介します。
2. 社内翻訳者の主な仕事内容
社内翻訳者が担当するのは、企業内で日常的に発生するさまざまな文書の翻訳です。主な業務内容は次の通りです。
- 技術文書やマニュアルの翻訳
製品仕様書、取扱説明書、報告書など、専門性の高い文書を正確に訳すスキルが求められます。 - 社内コミュニケーション文書の翻訳
海外支社とのメール、議事録、プレゼン資料、社内通達なども翻訳対象になります。 - 多言語対応や品質チェックの補助
翻訳メモリや用語集の整備、他翻訳者のチェック、外部翻訳会社とのやり取りも行うことがあります。
3. 一日の流れ:ある社内翻訳者のスケジュール
社内翻訳者の1日は、翻訳作業を中心にしながらも、社内との連携も含まれます。以下は一例です。
- 9:00 出社・メールチェック
海外支社から届いた依頼や問い合わせを確認。 - 10:00 翻訳作業(マニュアル翻訳)
翻訳メモリを活用しながら、既存文書をベースに作業。 - 12:00 昼休憩
- 13:00 会議参加
技術チームとの会議に同席し、用語や意図を確認。 - 14:00 翻訳チェック
他の翻訳者が作成した資料のレビューや修正。 - 16:00 新規翻訳の準備
用語集の更新、参考資料の調査など。 - 18:00 退社
4. 社内翻訳のやりがいと難しさ
社内翻訳者として働く中で、次のようなやりがいと難しさを感じることがあります。
やりがい:
- 製品やサービスに深く関われる
- 専門知識が日々蓄積され、成長を実感できる
- チームで成果を出す喜びを味わえる
難しさ:
- 社内の専門用語や略語の理解が必要
- 多部門との調整が求められる
- 翻訳以外の業務(資料作成、庶務など)を兼ねる場合も
5. 向いている人の特徴
- 人と関わることが苦にならない
翻訳だけでなく、他部署とのやり取りや会議も多く発生します。 - 安定した環境でスキルアップしたい
社内の翻訳者は長期的な成長を見据えて働けるのが魅力です。 - 柔軟な対応力がある
優先順位が変わることも多く、臨機応変な対応が求められます。
6. 社内翻訳者として働くメリット・デメリット
メリット:
- 安定した収入と福利厚生
- チームで相談しながら作業できる
- 実務経験を積みやすい
デメリット:
- 翻訳以外の業務も発生することがある
- 希望しない部署への異動の可能性もゼロではない
- 翻訳の自由度は比較的低め(社内ルール優先)
7. どうやって社内翻訳者になるの?
社内翻訳者の求人は、以下のような方法で見つけることができます。
- 求人サイト(転職エージェント含む)での検索
「社内翻訳」「英文事務+翻訳」などのキーワードで検索 - 未経験可のポジションを狙う
事務職+翻訳補助からスタートし、経験を積む道もあります。
応募時に見られるポイント:
- トライアル翻訳の精度
- 語学スキル(TOEICスコアなど)
- PCスキルや業務経験の有無
実務経験が少ない場合でも、応募書類や課題翻訳で丁寧さと理解力を示すことが重要です。
8. まとめ:社内翻訳という選択肢
フリーランスと比べるとあまり目立たないかもしれませんが、社内翻訳者は翻訳スキルを実務の中で育てられる貴重な働き方です。
「いきなりフリーランスは不安」「まずは経験を積みたい」という方にとって、社内翻訳という選択肢はとても現実的で魅力的な道です。
自分の適性やライフスタイルに合った働き方を見つけて、翻訳の世界への一歩を踏み出してみませんか?